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第1回 若手研究者 都市地震工学シンポジウムの報告
建築学専攻(助教)
熊谷知彦
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第1回 若手研究者 都市地震工学シンポジウムが,CUEE主催により,10月6日9時30分〜12時,大岡山キャンパス 緑が丘地区 M011講義棟にて開催された。本シンポジウムは,震災メガリスクの解決に向けた若手研究者同士のネットワークの構築を目指し,都市地震工学に関わる若手研究者(主に40才未満の研究者)および学生を対象に開催されることとなった。今回は,最近の大地震に関する被害調査報告をテーマとして開催され,2008年5月12日に発生した四川大地震と2008年6月14日に発生した岩手・宮城内陸地震についての調査報告等が行われた。講演は,京都大学1名,東北大学3名,東工大2名の計6名により行われた。参加者は当初の予想を上回る約70 名(うち学生50名)と大変盛況であった。以下にシンポジウムの概要を報告する。
本シンポジウムは,熊谷助教による開会挨拶により開幕し,2つのセッションにより行われた。セッション1では,熊谷助教の司会進行のもと3名による講演が行われた。そのうち2つは四川大地震に関する講演であり,京都大学の坂下助教による建築構造物の被害調査報告として組積造建物とRC建物の被害形態の分類に関する講演,東北大学の迫田助手による躯体のみが完成していた状態で被害を受けた集合住宅の耐震性能と復旧案に関する講演が行われた。また,岩手・宮城内陸地震に関する講演は,東工大の三浦助教による人工衛星TerraSAR-Xによって撮影された画像を用いたリモートセンシングによる斜面崩壊についての講演であった。休憩を挟んで行われたセッション2では,渡辺助教の司会進行のもと3名により岩手・宮城内陸地震に関する講演が行われた。講演内容は,東北大学の内藤助教による国道342号線橋梁の被害調査と調査対象橋梁の一つである祭畤大橋の落橋過程に関する考察,東北大学の三辻助教による建築構造物でも主に小学校と庁舎等に着目した被害調査と上野目小学校校舎における常時微動観測およびグラウンドでの表面波探査に関する報告,東工大の吉敷助教による主に体育館被害に着目した調査報告であった。また,吉敷助教の講演では,最新の情報として2008年7月24日に発生した岩手県沿岸北部地震の被害についても調査報告があった。各講演には,質疑応答時間が5分間設けられたが,どの講演に対しても3名程度からの質問があり,時間一杯を利用した活発な質疑応答が行われた。最後に,渡辺助教による閉会挨拶があり,シンポジウムは閉幕となった。
今回は第1回開催ということもあり,学内からの参加者がほとんどであった。これを受け,来年度は学外への広報をなお一層充実させ,本シンポジウム開催目的の達成に向け,学外からの参加者が増えることが期待される。
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写真2 講演風景 |
写真3 質疑応答風景 |
本シンポジウムの運営担当は熊谷・渡辺助教が努めましたが,最初の企画は林教授,山田准教授に御提案戴きました。また,開催の準備に際し,井澤・鈴木・田辺・松崎・飯塚助教,CUEE事務局の土屋氏,小河研究室・時松研究室の学生諸君には大変お世話になりました。ここに関係者および参加者に深く感謝致します。