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Home > 出版物 > ニューズレター > GCOE震災メガリスク軽減の都市地震工学国際拠点における教育活動

GCOE震災メガリスク軽減の都市地震工学国際拠点における教育活動

土木工学専攻(教授) 二羽淳一郎

1. はじめに 

 東京工業大学の博士課程の教育成果に関する目標は、「科学技術および社会に対する広い学識を修得し、国際的に高度なリーダーシップを発揮できる先導的科学者、研究者あるいは高度専門職業人を養成する」こととなっている。これを踏まえて、本GCOEプログラムでは、平成15年度から開設された博士後期課程の「都市地震工学特別コース」を、平成20年度から開始された修士・博士一貫制国際大学院プログラム「日本の地震防災技術による国際貢献を担う高度技術者の養成プログラム」に適用できるようにさらに拡充強化して「都市地震工学国際コース」を設置した。そしてこのコースの中で、地震防災に関する最新の知識と高い見識に加え、国際コミュニケーション能力、幅広い視野と柔軟な思考力、独創的・萌芽的発想力などを持ち、国際的にリーダーシップを発揮できる地震防災分野の先導的研究者・高度専門技術者を育成することを目標として、活動を行ってきた。具体的に、以下のような人材を養成することを目指してきた。
①「教育・研究の国際的リーダーシップをとれる人材」
②「問題発見から解決までのプロセスを国際社会でマネジメントできる人材」

 

2. 人材育成のための具体的方策

本プログラムの教育課程における人材育成計画では、大学院生、PD、若手研究者に、国際的に活躍できる能力を付与することを目指し、以下のような具体的な方策を取り入れることにした。

【指導体制】
本プログラムの教育専門職員としてコーディネーターを採用し、カリキュラム調整・改善、連携機関からの招聘教員の調整、留学生の募集活動、広報活動などを効率よく推進することとした。また、主指導教員に加えて、メンターを兼ねた副指導教員を配置し、複数の教員が学生の学習、研究の進捗状況を確認し、所定の期間より短期間(修士博士一貫で平均4年)で博士の学位取得を目指すこととした。

【国際人育成を目指した教育】
全カリキュラムを原則として英語化し、PEERを始めとする海外連携機関等から教員や研究者を招聘し、グローバル化に対応した幅広い視点からの講義、研究指導、論文審査などを実施する。さらに、以下の「3ステッププログラム」を開講し、充実した魅力あるカリキュラムを編成し、学生の広い視野と柔軟な思考力の育成を図る。

【3ステッププログラム】
○ステップ1「国際テクニカルコミュニケーション」
外国人教員の指導のもと、既存の英語プレゼンテーションスキル科目をさらに充実し、国際会議発表・討議が十分可能となるレベルのコミュニケーション能力を養うこととした。
○ステップ2「国際コラボレーション」
南アジア、あるいは中東の諸国の大都市などを対象として、地震危険度予測や都市防災技術戦略について、日本人学生と留学生との協働作業により、報告書をまとめさせ、教員と学生の前でプレゼンテーションを行わせる取組みを通じて、国際コミュニケーション能力、調整力、協調力、リーダーシップ 力などを養成する。
○ステップ3「国際実践プロジェクト」
国際共同研究や国際協力事業と関連させて、海外連携機関または国内の公的研究機関などに、3ヶ月程度以上派遣し(インターンシップ)、幅広い視野、実践力、マネジメント力などを育成するともに、卒業後のキャリアパスの可能性を開く。
以上の3ステッププログラムの実施により、 個々の専門にとらわれない、幅広い実力を付与していくことを目指した。

 

3. 経済的支援と若手育成策

 本プログラムに所属している学生自身の教育力を養成するため、博士課程学生には最低半年間のTAを必修とした。日本学術振興会特別研究員と同様の研究計画書提出、ならびに面接により博士課程学生をRAとして雇用し、毎年成果報告書を提出させ、優秀者には重点的な支援(研究計画書の審査と研究実績により、年間100万円程度から最大240万円程度)を行った。

 また、本プログラムには、GCOE予算とは別途に、修士・博士一貫制の国費留学生枠が5名分用意されており、優秀な留学生を獲得できる状況が実現された。

 さらに、優秀な博士課程修了者や若手研究者が、本プログラムの研究環境で、自立して研究を遂行する能力を養成できるように、これらの若手人材をPD、特任助教などとして採用し、経済的に支援した。具体的には、研究計画書の審査と既往の研究実績により、年間480万円程度から720万円程度の補助を行った。

 この他、 独創的・萌芽的発想力、研究力などの育成と早期自立を目的として、研究費配分申請書の評価に応じた研究経費を博士課程学生、若手研究者に配分した。具体的には、研究計画書の審査と研究実績により、年間で最大150万円程度を配分した。 連携機関との共同研究などに関連させた学生・若手研究者の国際交流、学生・若手研究者の主体的な企画運営による若手研究者国際WSなどを継続的に実施し、これに参加する優秀な学生を経済的に支援し、若手研究者の国際ネットワーク形成を促進した。

 

4. コースカリキュラム

 本プログラムは、「1. はじめに」で述べた人材育成を目指して、講義体系を0系(基礎共通科目)、T系(地震・地盤科目)、U系(構造技術科目)、V系(災害リスク管理科目)、W系(国際実践型科目)、V系(専門研究科目)に分類し、約50科目を開講してきた(図1)。これら十分な数の講義によって、学生は主たる専門分野、加えてその基礎となる専門分野、さらには関連専門分野を体系的に習得することができる。これを通して、実践研究の遂行が可能となり、さらに国際実践型科目(3ステッププログラム科目)を組み合わせることにより、本プログラムを修了した博士は国際プロジェクトをリーダーシップを持ってマネジメントできる素養が付与されることとなる。


図1 カリキュラムの体系

 本プログラムは独立した博士前期課程、博士後期課程(修士・博士区分コース)、修士・博士一貫コースと様々なニーズに対応できるように設計されているが、このうち、国際大学院プログラムである「日本の地震防災技術による国際貢献を担う高度技術者の養成プログラム」では、以下のような修士・博士一貫コースを標準としてい る。

【修士・博士一貫コースの修了要件】
修士(修了年数1〜2年:標準1.5年)

  • 0系科目4単位以上、自専門系科目(I, II, III系のいずれか)から6単位以上、他専門系科目からそれぞれ2単位以上、W系科目2単位、在学年数の4倍の単位のV系科目(Special Experiment、Seminar)、その他、コース外科目4単位を含み、Off-Campus projectの単位を含まない30単位以上を取得すること。
  • 特別課題研究(修士論文研究)を提出し、審査に合格すること。

博士(修了年数2〜3年:標準2.5年)

  • 修士取得者は、博士課程進学資格試験(審査員5名以上)に合格後、正式に博士候補者として認められる。
  • 審査には、原則として外部審査員を加えること。
  • 修了のためには、博士在学年数の2倍の単位のSeminar、ならびに国際コミュニケーション、国際コラボレーション、Off-Campus project (国際実践プロジェクト)を、それぞれ1科目以上取得すること。
  • 博士論文研究中間審査、博士最終学位審査に合格すること。

 

5. 国際コラボレーションの実施例

 3ステッププログラムの中から、国際コラボレーション科目と国際実践プロジェクト科目について、以下に概要を紹介する。

 「国際コラボレーション1」では、留学生と日本人学生からなる混合作業チームを複数編成した。そして、これらのチームが、東京都内の地域危険度マップで建物の倒壊危険度や火災危険度、総合危険度の高い地区に出かけていき、現地で実際にフィールドワークを行った。そして、その地区の実態を調査するとともに、対策を提言するものである。例えば、図2は都内荒川区のある地区の例であるが、火災に対して家屋が密集していたり、燃えやすいものが放置されていたり、あるいは飲食店が密集している状況を確認している。また、図3は建物が密集し、隣家との間隙も少なく、災害発生時には脱出が困難となると思われる状況である。この状況に対して、作業チームは、この地区には2つの小さな公園と1つの小学校が存在するのみであることから、現状の公園をさらに拡張することと、空地を増やして公園化することを提言している(図4)。


図2  荒川区内の住宅地ならびに飲食店の状況


図3  住宅密集の状況


図4 公園の拡張と空地増加に関する提言

 

6. 国際実践プロジェクトの実施例

 国際実践プロジェクト科目の中の「国際インターンシップ」では、台湾の国立中央大学からの強力な支援のもとに、ユニークな取組みを行ってきた。以下にその概要を紹介する。

 「国際インターンシップ」では、夏期休業中の9月に東工大の大学院生を10名程度、台湾の国立中央大学に派遣し、中央大学の学生との混合作業チームを複数編成する。そして、中央大学の教員による、当該地域全域の危険度に関する基礎的な講義の後(図5)、各チームはそれぞれの担当地区でフィールドワークを行い、また居住者に対するインタビューも行う(図6(a), (b), (c))。フィールドワーク終了後、チーム内で討議を重ね、最終的に調査結果と危険度低減のための対策を取りまとめ、東工大ならびに中央大学の教員や学生の前でプレゼンテーションを行うというものである(図7(a)〜(h))。なお、2012年には、調査対象となった桃園県中壢市役所の職員の方々もプレゼンテーションを聴講した。


図5 中央大での講義の状況

(a)消火栓調査  (b)建物の調査 (c)インタビュー
図6  桃園県中壢市におけるフィールドワークの状況
     
(a) 中壢市東興里での調査 (b) 調査対象地区の概要 (c)危険な建物
     
(d)脆弱なレンガ造の建物 (e)建物間の狭い間隔・薄い建物 (f)脆弱性の評価結果
     
 
(g)危険度マップの作成 (h)最終的な成果発表  
図7  国際インターンシップと成果発表

 

7. おわりに

 本プログラムは、GCOE終了後の現在も東工大の修士・博士一貫コースの中の一つのプログラムとして継続している。ここで行われた教育における特徴ある取組みに関しては、今後もその内容や構成を随時改善しながら、是非継続していきたいと考えるものである。

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