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国際会議、中間評価と教育プログラム
大学院理工学研究科 土木工学専攻(教授) 二羽淳一郎
2008年から始まった本グローバルCOEプログラム「震災メガリスク軽減の都市地震工学国際拠点」では、21世紀COE同様、年度末の3月上旬に例年「都市地震工学国際会議(CUEE国際会議)」を開催している。今回はCUEEとしては通算7回目の開催となるが、特別にICEEの第5回会議と合同開催となり、初めて3月3日から5日までの3日間の開催となった。延べ参加者数は400名を超え、海外からの参加者も200名を上回り、大変盛況であった。ご支援いただいた関係各位に衷心より感謝の意を表したい。詳しい記事は本号の中でも特集されているので、ご参照いただきたい。
さて、開始されてから足掛け3年目の本GCOE拠点であるが、本年の6月に中間評価を受けることとなった。中間評価の資料を作成しながら感じたことは、博士課程に在籍あるいは進学する日本人学生があまり多くないということである。修士課程にはそれなりの日本人学生が在籍しているのであるが、博士課程となると本当に少なくなる。なお留学生は国費留学生の優先配置を伴う国際大学院コースが開設されていることもあり、修士課程も博士課程も順調である。博士課程の学生は、学位を取得したのち、民間の会社や研究所あるいは公的な研究機関に就職する場合も最近では増えてきた。しかし、大学の教員となって、わが国の学問を中心となって牽引していく人材として期待されていることも事実である。学生諸君の積極的なチャレンジを期待したい。
本COEの教育プログラムでは、3ステッププログラムと称する国際実践型科目を開講している。これはステップ1が国際コミュニケーション科目で特任の外国人教員から英語の講義を受けるものである。続いてステップ2が国際コラボレーション科目で、受講する日本人学生と留学生が各2~3名づつで、4~6名くらいから成るグループを数個形成し、協働して英語によるレポート作成や成果発表を行うものである。前期では、大田区や目黒区の住宅密集地に出向いて、実地に調査や分析を行い、地震に対する危険度を評価し、東京都制定の地域危険度と比較対照するものである。後期は地震危険度の高い世界の大都市をターゲットに選定して、JICAに提出する地震防災の提案書を作成する演習を行っている。昨年はテヘランを対象に作業を行ったが、学生らしい新鮮な視点の提案があり、頼もしい限りであった。最後のステップ3は国際実践プロジェクトである。これに関しては、現在検討中であるが、米国あるいは台湾などに数名から10名程度の学生を派遣して、現地でのfield workやシンポジウムに参加させることを計画中である。海外の交流拠点と連携しながら、ステップ3のプログラムを進めていきたい。