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 ■ 第4回都市地震工学国際会議の報告

都市地震工学国際会議実行委員会

 2007 年 3 月 5 , 6 日の両日にかけて,第 4 回目となる CUEE主催の都市地震工学国際会議( Fourth International Conference on Urban Earthquake Engineering )が東京工業大学大岡山キャンパスにおいて開催された.口頭発表として海外からの研究者 25 名,国内他大学・研究所など 35 名,東工大 22 名の計 82 名,ポスター発表として海外 7 名,国内他大学・研究所など 1 名,東工大 26 名の計 34 名,合計 116 名による研究発表が行われた.地震動,地盤・基礎構造,上部構造の耐震,振動制御,地震防災と人間行動,津波などに関する各分野のセッションに加え,ハリケーン・カトリーナによる被害調査ならびに米国の地震工学に関する教育状況についての講演を集めた特別セッションを設けた.今回の会議では,会場を 3 つ設け,セッションをパラレルに進行させることにより,今までより多くの発表が行われるようになった.このため,論文集も約 973 頁と充実した内容となった.本会議は発表・質疑ともに英語で行われ,参加者は約 266 名と大変盛況であった.以下にその概要を報告する.

Ansal教授による講演

室崎教授による講演

   
O’Rourke教授による講演
Mander教授による講演

 「構造物の動的応答」のセッションは,和田教授(東工大),元結准教授(東工大),Willford氏(ARUP)の司会進行のもと,基調講演1編を含め8編の口頭発表となった.河野氏(鹿島建設)より油圧ダンパーと高靭性コンクリートを用いたRC造高層建築物の動的解析について,Li氏(CANNY Structural Analysis)より非線形解析のための多重変形要素を組み込んだ要素モデルについて,石井氏(日建設計)よりBuilding 3D DYNAによるパッシブダンパーを組み込んだ高層建築物の動的解析についての講演が行われた.三井氏(伊藤忠テクノソリューションズ)よりRC造の損傷挙動に関する数値解析について,池上氏(伊藤忠テクノソリューションズ)より長周期地震動の有限要素法による数値解析について,金子氏(東工大)より局部座屈挙動を考慮した弾塑性梁要素に関する数値解析について,Moon氏(MIDASIT)より三次元非線形構造物の定式化と適用についての講演が行われた.セッション最後の基調講演ではWillford氏より近年行ってきたLS-DYNAを用いた多くのプロジェクトにおける解析結果についてのプレゼンテーションが行われた.セッションを通してオープニング・基調両セッションでの熱気を引き継ぐ形で熱心な討議が重ねられた.(岡田玲21世紀COE研究員)

 「地震動」のセッションでは,翠川教授(東工大),Purvance博士(ネバダ大レノ校),Wen教授(台湾国立中央大学),山中准教授(東工大)の司会進行のもと,3編の基調講演と6編の一般講演が行われた.基調講演として,纐纈教授(東大)が首都直下で大地震が発生した場合に想定される地震動の発表を行った.Wen教授が台北平野での常時微動観測による地盤震動特性の評価に関する発表を行った.Purvance博士が断層付近に分布するバランスロックを用いた地震ハザード解析に関する発表を行った.その後,一般講演として,畑山主任研究員(消防研),内山主任研究員(大成建設),本田准教授(東大),大堀研究員(東工大),元木助教(東工大),山田氏(鹿島建設)より地震動や地下構造物のシミュレーション手法に関する研究発表があった.(井上修作助教・三浦弘之21世紀COE研究員)

「橋梁」のセッションでは,Ge准教授(名古屋大学),梶田准教授(九州大学),豊岡助教(京都大学),田辺助教(東工大),渡邊助教(東工大),木下氏(東工大),Sivaleepunth氏(東工大)による講演が行われた.ひずみ照査型の鋼橋の耐震設計法の開発,鋼材の衝突および緩衝装置の性能実験に関する基調講演を始めとし,鉄道橋の地震時非線形応答に関する実験的研究,大塑性ひずみ領域での欠陥を含む溶接継ぎ手の部の損傷評価,地震後の残留変形の推定法,複雑な形式を有する円柱橋脚の耐震性能,FEMによるプレストレストコンクリートのせん断耐力評価法に関する一般講演など多岐にわたるテーマで発表が行われた.若い研究者による発表が多く活発な討議が行われた(渡邊学歩助教・田辺篤史助教)

 「制振・免震」のセッションでは,Xue教授(Beijing University of Technology),竹内准教授(東工大),森田助教(福岡大),小林博士(明治大),佐藤氏(東工大),藤井博士(東京理科大学),伊藤博士(東工大),Fahnestock教授(University of Illinois at Urban-Champaian),による講演が8編発表された.形状記憶合金を用いたディバイス,大空間構造物などの制振技術,鉛ダンパー,中間層免震,粘弾性ダンパー,既存RC構造物のダンパーによる補強,,弾塑性ダンパーの累積塑性変形,座屈抑制ブレース付き骨組のパフォーマンス,についての講演があった.(西村康志郎助教)

「津波」のセッションでは,大町教授(東工大)とWijeyewickrema准教授(東工大)の司会進行のもと,2編の基調講演と7編の一般講演が行われた.基調講演では,Yeh教授(オレゴン大)と佐竹副センター長(産総研)がそれぞれ工学的観点,理学的観点から近年の巨大津波について興味深い講演を行われた.一般講演の発表のテーマも多岐にわたり,いずれも活発な討議が行われた.(井上修作助教)

'Seismic Hazard Mitigation Planning and Human Behavior' session, chaired by S. Fujii (TITECH) and R. Ohno (TITECH), was divided into two parts and consisted of 8 presentations from various academic institutions, research center and consultant agency. The first presenter is R.T Eguchi (ImageCat Inc. consultant) talked about `Integrating Remote Sensing and VIEWS` Field Reconnaissance`, H. Murakami (Yamaguchi University) talked about ` What We Learn from Damages and Human Behavior in Condominium Buildings in the 2005 Off West Fukuoka Prefecture Earthquake`, other presenters talked about building damage assessment, SAR imagery, disaster information, risk perception and communication, etc. The parallel session had gone well with question and answer discussion at the end of every presentation. (Syam Rachma Marcillia, TITECH )

 「地盤地震工学」のセッションは,日下部教授(東工大)とAshford教授(UC San Diego),竹村准教授(東工大)とCubrinovski准教授(University of Canterbury)の司会のもと13編の一般発表が行われた.本セッションの内容は,新潟県中越地震地震被害のFEM解析による再現,コストパフォーマンスを考慮した地震被害軽減に関する調査,斜面上に位置する基礎の地震時安定性評価,断層近辺に位置するトンネルへの地震動の影響,動的遠心模型実験における相似則の妥当性に関するものなど多岐にわたるものであったが,多くの質問がなされ,活発な討議が行われた.(井澤淳助教・鈴木比呂子助教)

 「鋼構造」セッションは,五十嵐准教授(東工大),佐藤助教(名工大),山田准教授(東工大),田川氏(CUEE研究員)の司会により行われた.国外(米国,韓国,台湾)から5名,国内から6名の計11名の発表者により,地震による破壊現象の再現や,鋼製既設階段の耐震評価,フレーム構造物の実験や解析,座屈拘束ニーブレースダンパー,座屈を考慮したFEMなど多岐にわたったトピックの発表がなされ,質疑応答では活発な討議が行われた.(田辺篤史助教)

 「コンクリート構造」のセッションでは,1編の基調講演に加え,9編の口頭発表が行われた.基調講演は,Song教授(韓国延世大学)による,地下構造物を対象とした非線形解析の紹介であった.一般講演では,地盤−構造物系の3次元非線形解析や,耐震壁,隅角部,柱−はりの接合部など,様々な構造部材を対象とした実験について紹介された.また,鉄筋腐食したRC柱部材の構造性能評価,炭素繊維シート補強したT型はりの挙動,UFCをトラスに用いた複合橋の非線形解析についての発表があった.(西村康志郎助教・三木朋広助教)

O'Rourke教授による講演

翠川教授による講演

Ashford教授による講演

Special Lecturesのセッションでは,ハリケーン・カトリーナによる被害調査に関する講演をO'Rourke教授が,米国の地震工学に関する教育状況についての講演をAshford教授が行った.また,CUEEの研究教育活動の報告を翠川教授が行った.講演内容に関して多くの質問がなされ,白熱した議論が展開された.最後に,時松サブリーダーが閉会の言葉を述べ,第 4 回都市地震工学国際会議が閉会となった.

講演者とCUEEメンバーとの集合写真

 今回の国際会議では,国内のみならず海外の研究者にも多く参加していただき,研究者同士の高いレベルでの意見交換や将来に向けた有意義な交流の機会を設けることができ,今まで以上に盛況な会議となったように思います.本会議の企画・運営まとめ役である二羽教授・時松教授をはじめ実行委員会の竹内准教授・堀田准教授・三木助教・鈴木助教,各セッションの取り纏め役の,大町教授,大野教授・和田教授・山田准教授・渡辺助教,論文編集委員会の盛川准教授・山中准教授,会場設営委員会の竹村准教授・井澤助教,事務局の熊谷氏・池上氏・土屋氏,には大変お世話になりました.ここに関係者および参加者に深く感謝いたします.

(序文・結文執筆,レイアウト構成:市村強 東京工業大学准教授)



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