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 ■ 東工大―台湾国立中央大学のジョイントシンポジウムに参加して

人間環境システム専攻 井上修作
土木工学専攻 三木朋広・井澤 淳

1.はじめに
2006年9月24日から28日の5日間台湾に滞在し,都市地震災害の被害軽減に関する東工大−台湾国立中央大学(TIT−NCU)のジョイントシンポジウムに参加するとともに,ポストシンポジウムツアーとして台湾東海岸への山岳トンネル,揚水式ダムを見学しました.以上について報告します.

2.シンポジウムの概要
TIT−NCUジョイントシンポジウムの概要を説明する前に,シンポジウムの開催に至る経緯について簡単に説明します.このシンポジウムは,2005年に東工大で行われた第2回都市地震工学国際会議(東工大で採択された21世紀COEプログラムのひとつである「都市地震工学の展開と体系化」に関する国際会議)の際に,NCUからの参加者と大町センター長をはじめとする東工大都市地震工学センター(CUEE)のメンバーの間で会合が開かれ,その際にNCU側から開催が提案されたものです.今回はその第2回のシンポジウムであり,これがCUEEとNCUの研究交流や人的交流を促進していく場となることが期待されています.

写真−1 集合写真(前列左から3人目から
唐教授(防災研究センター長),大町教授)
写真−2 開会式での記念品交換
(左:二羽教授,右:李NCU学長)
   

写真−3 発表風景(左:盛川准教授,右:Anil准教授)

  さて,今回のシンポジウムには,CUEEリーダーの大町教授,二羽教授,Anil准教授,盛川准教授にわれわれ3名を加えた,計7名で参加しました(写真−1).開会式では,李NCU学長から挨拶があり,2006年に東工大を訪問した際,すずかけ台キャンパス内に新設されたJ2棟を見学し,建物基部に導入された免震構造を視察したことなどについてのエピソードが紹介されました.続いて二羽教授と李NCU学長の間で記念品が交換されました(写真−2).シンポジウムでは,地震工学全般に関する20件の研究発表が行われ,活発な討議が繰り広げられました.発表内容は,津波,地震動,地盤の液状化,リモートセンシングを用いた地震被害予測,重力探査を用いた現地観測,地下構造物の耐震性能,耐久性を考慮した構造解析,構造物のダンピングシステム,コンクリート構造における新材料の適用等々,多岐にわたりました(写真−3).このうち盛川准教授による,シンポジウム直前に行った現地観測に関する発表やNCU王准教授による柱−はり接合部の耐震性能評価に関する研究は,東工大―NCU間の共同研究の成果であり,この2大学間の研究上のコラボレーションの成果として報告されました.また,NCUからは教員のほか,学部・大学院の学生も多数参加しました.


3.ポストシンポジウムツアー

シンポジウム終了後は,NCUの黄教授,陳教授,許教授の引率の元,台湾東海岸に向けたポストシンポジウムツアーに参加しました.台湾の中央には標高の高い山脈(雪山山脈)があるため,台湾の西部から東部に移動するためには,この山脈を越えていく必要があります.NCUのある中歴市は台北の西側ですので,さらに東部に行くためには従来は台湾北部の海岸線を沿うように回って行く必要がありました.そのため,雪山トンネルが建設されたのですが,これによって,たとえば台北から宜蘭までの車での移動時間が約4時間から40分に大幅に短縮されることになったそうです.写真−4はこのトンネルの管理センターのモニタであり,オペレータの操作の元,常にカメラで監視されていました.実際,われわれが滞在している際にも,一台の車が高速道路脇に停車しており,その車にフォーカスが当たっていました.写真−5はそのトンネル内高速道路脇の空調施設の前での写真です.

写真−4 雪山トンネル管理センター

写真−5 雪山トンネル内
(高速道路脇の空気循環施設前)


写真−6 台湾電力公司碧海水力発電所にて
ツアー2日目は,台湾電力公司碧海水力発電所を見学しました.この発電所は,揚水型のダム発電施設です.ダムは中規模の施設なのですが,山奥の非常に険しい現場での工事が必要であり,国内で初めて3機のヘリコプターで建設資材や重機の搬入を行ったということについて,所長の李さんから紹介がありました(写真-6).

4.おわりに
今回のシンポジウム,およびポストシンポジウムツアーにおいては,NCUの教員から熱烈な歓迎を受けるとともに,前回同様,非常に親切な対応をしていただきました.この場をお借りしまして,感謝申し上げます.また,今回のシンポジウムを契機として,NCUとのビデオ遠隔講義を行うことも決まり,今後のさらなる2大学間の研究交流の発展と促進を期待しています.



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