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 ■ 構造物動的破壊実験システムの導入と付設

建築学専攻
竹内 徹
堀田久人

CUEEでは平成15年度〜16年度にかけ、地震動入力を高精度で再現できる動的加力・加振装置および測定装置の導入・付設を緑が丘2号館内に実施した。実験対象となる構造物は土木・建築構造物、免震・制振機構等、広範囲に想定されるため、できる限り高出力かつ高精度を実現するよう下記条件を設定し装置の選定・設計を行った。

  1. 最大負荷500kN程度以上の連続加振が行なえること。
  2. 0.5Hzから20Hzの周波数領域で50cm/s程度以上の加振能力、±300mm以上の最大ストロークがあること。
  3. 0点通過時のバックラッシュ(ガタ、あそび)が極力小さいこと。
  4. 油圧源が低騒音(1m至近で75dB(A)以下)であること。
  5. 入力変位波形を高精度で再現できる変位及び位相の同時補正制御回路(制御周波数6kHz以上)を有すること。
  6. AD変換分解能が24ビット以上であり、多軸制御機能を有すること。

以上の条件に基づき比較検討した結果、波形の再現に要する条件(バックラッシュ低減技術の有無、補正回路の有無、AD変換分解能)や、油圧源装置の空間制約に関する条件を考慮し、エムテイエスジャパン社製Model244を加力システムとして採用した。加力システムの仕様を表1に示す。アクチュエータのパワーに比べて油圧源の出力が大きく、スピード重視の仕様となっている。

 実験フレームについては、アクチュエータの能力を利用して様々な実験が行えるよう、可動テーブル付の汎用実験フレームを設計し、動的加力および振動実験の双方に対応できるように工夫した。可動テーブルは1700mm×1200mmのサイズ、約1.9tの重量で±500mm稼動するように取り付けられており、アクチュエータは定常時はこの可動テーブルに接続されている。可動テーブルはそのまま振動台として機能するとともに、加力装置としても使用できる。可動テーブルのレールは約800kNmの転倒モーメントに対し設計されているため、試験体反力は高さ約1.5mまで設定可能である。また、レールを取り外し可能な架台の上に設置し、いざという時には架台ごと可動テーブルを取り外し、アクチュエータを上部に引き上げた形での実験も可能なよう設計されている。

 汎用フレームの設計はCUEEの先生方のアドバイスを受けながら堀田・竹内研で行い、製作は巴技研(株)に依頼した。基礎工事は配筋、コンクリート打設を含めて堀田・横山・竹内・小河・五十嵐・瀧口研の協働で行った。基礎工事状況を図2に示す。汎用フレームは旧疲労試験装置の地下ピットに合わせて設計され、ピット内にアンカーボルトを埋め込みコンクリートを打設し、これを基礎とすることにより慣性重量を確保し、実験時の振動を抑える方針とした。

 図3に設置後のスイープ試験による性能曲線を示す。最大負荷時においても、概ね0.5Hz〜5Hz の範囲で400mm/s以上の最大速度能力を発揮できていることが分かる。

 H16年度では、本システムを使用して10月までに2シリーズの実験が行われた。図5に可動テーブルを加力装置として使用した実験例を示す。今後本装置を使用し、有益な実験が多く行われることを期待したい。



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