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 ■ 第1回都市地震工学国際会議の報告

建築物理研究センター(教授)  笠井 和彦
工学部土木工学科(教授)  川島 一彦

 都市地震工学国際会議 (First International Conference on Urban Earthquake Engineering)が、CUEE主催により、3月8, 9日の両日、すずかけ台キャンパス大学会館すずかけホールで行われた。米国、中国、台湾などからの研究者、東工大教官・研究員・学生、他の国内研究者による総計66の招待講演、口頭発表、ポスター発表があった。内容は、海外の地震工学研究の動向、地震被害調査報告、地震波、鉄骨・コンクリート耐震構造、制振・免震構造、基礎・地盤構造、リスク評価や防災対策など多くの分野に渡り、論文集は約560頁の充実した内容になっている。また、学内で建設中の免震高層建物の見学会なども開かれた。本会議は発表・質疑とも英語で行われ、参加者数は約270名と大変盛況であった。以下に概要を説明する。

 3月8日午前は、大町CUEEリーダー、時松サブリーダーの挨拶で国際会議が開幕した後、特別講演としてイラン・シャリフ工科大学のルフィ専攻長がイラン地震報告、米国PEER地震研究所(カリフォルニア大学バークレイ校)のモーレ所長とMCEER地震工学研究所(ニューヨーク州立大学バッファロー校)のブルヌー所長が、それぞれの研究所における大型プロジェクト、特に地震に対する性能設計や対策に関する研究を紹介した。続いて、米国USGS地質調査所のボーチャート主席研究員が、米国耐震設計基準における地盤別地震動の扱い方について特別講演を行った。

 3月8日午後は、相沢益男学長の挨拶に続き、鉄骨・合成構造のセッションで三木教授を始め5名が、地震時の橋梁・建物の鉄骨接合部脆性破壊、従来筋交い構造の地震応答特性、トラス梁など個材からなる梁の弾塑性不安定挙動などに関し発表した。その後、コンクリート構造セッションIで川島を始め5名が、橋梁・建物のコンクリート柱梁の靭性、地震応答と設計、損傷制御設計に基づくプレキャスト構造の挙動などに関し発表した。

  午後3時30分から、コーヒーブレイクを含め21名のポスター発表が行われた。分野はコンクリート構造、鉄骨構造、制振構造、杭動的挙動、火災避難、津波、地震動などだった。その後最終セッションは制振・免震構造に関するものであり、笠井を始め6名が、日本のパッシブ制振技術の現況、トラス柱高層構造の鋼材ダンパーによる制振、粘弾性ダンパーと材料の構成則、摩擦ダンパーによる耐震補強、セミアクティブ制振、免震構造の地震応答評価法などの発表を行った。午後6時30分から約100名の参加による懇親会が始まり、瀧口・時松教授の進行により海外研究者多数を含めた交歓が行われ、三木教授挨拶により1日目が終了した。

大町達夫CUEEリーダー
相沢益男 学長

海外招待講演者

ポスターセッション風景

講演会場風景

川島 ・ 笠井による特別講演司会

 翌3月9日午前は、特別講演として、米国カリフォルニア大学バークレイ校のマヒン教授、中国構造工学研究所(同済大学)のルー所長、台湾地震工学研究所(国立台湾大学)のツァイ所長が、それぞれの地震工学研究の方向などについて紹介を行った。次いで、コンクリート構造セッションIIで5名が、コンクリート材料・部材の繰返し荷重下での挙動、梁開口の影響、亀裂抑制、補修法などの発表を行った。また、昼休みには、本キャンパス内の免震高層ビルの見学会および計測システムの説明会を、和田教授・山中助教授・大木助手が開催した。

 3月9日午後は、地震動のセッション?で翠川教授を始め4名が、地震被害予測全国地図の作成プロジェクト、1995年兵庫県南部地震における未解明の問題、2003年宮城県北部地震、非定常震動に関する考察などの発表があり、また、セッションIIでは、クルースCOE客員教授を始め3名が、チリにおける地震観測アレイデータの検討、地震の緊急事前警報システム、ダム直下における地震の影響に関し発表した。

  午後3時のコーヒーブレイク後、特別講演として香川大学のフィン教授(ブリティッシュ・コロンビア大名誉教授)が、性能設計のための地盤構造特性の評価法について発表し、その後地震地盤工学セッションで時松教授を始め4名が、上部構造・杭基礎の地震時連成挙動に関する大型振動台実験、地盤液状化が発生した場合の杭基礎の座屈問題、地盤液状化と流動状態における杭と地盤の連成挙動、液状化抑制のための地盤構造改良法などに関し発表した。さらに、特別講演として京都大学のスコーソーン教授が、自然災害一般に対するリスク軽減法に関し発表し、その後、和田教授を始め3名が、建物から都市へと展開した耐震設計、社会基盤構造の維持管理をふまえた最適化設計、異なる地域にある複数建物群の地震リスク評価などに関し発表した。
  この後、大町リーダーが閉会の言葉を述べ、第1回都市地震工学国際会議を閉会した。

懇親会風景

 本会議の企画・運営まとめ役は笠井・川島が努め、堀田・山田・盛川・竹村助教授、元木・添田・藤本・佐々木・木村助手、そして学生諸君に大変助けて頂きました。CUEE執行部の大町・時松・翠川教授、島田・熊谷氏、そして建築物理研究センターの小野口氏にもご尽力頂きました。ここに、関係者および参加者に深謝致します。なお、論文集は残部がありますので、必要な方は大岡山またはすずかけ台のCUEE事務局までご連絡ください。



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