

太平洋沿岸に震源域を持つ海溝型の巨大地震である、東海・東南海・南海地震の発生が懸念されており、これらが今後30年以内に発生する確率は50%を越えると言われております。このような巨大地震が発生すれば、長周期成分を含む強い強震動が発生し、首都圏をはじめとする東海道メガロポリスの大都市に立ち並ぶ超高層建物では長時間にわたり大きな揺れが続き、揺れ幅は1m程度に達する可能性があります。超高層建物の構造的な安全性については検討がなされておりますが、半面、設備、室内物品、居住者への影響は検討が十分とは言えない状況にあります。
未経験の強烈な長周期地震動が首都圏を襲った場合、多くの混乱が生ずると予想されます。長周期地震動により生ずる被害のポテンシャルについて定量的に評価し備えを万全にするためには、長周期地震動の特徴である大変位・長時間の震動を再現できる振動台を用いた実験が有効と考えられます。
【写真】振動台
今回導入した大変位2次元振動台は、リニアレール上の振動台をボールねじを介してサーボモーターにより駆動する機構を採用しており、最大変位±100cm(直交方向は±50cm)の長周期地震動を再現できることが大きな特徴です。正弦波加振はもとより任意波形入力による加振も可能です。振動台の主な性能は、以下の通りです。
・振動台の上面寸法 3.2m(長軸)×2.5m(短軸)
・最大積載重量 1ton
・最大加速度 1000gal
・最大速度 150kine
・最大変位 100cm(長軸) 50cm(短軸)
・正弦波加振の周波数範囲 0.1〜3.0Hz
・性能限界曲線 図1(a)(長軸) 図1(b)(短軸)
振動台実験を現実性の高いものにするためには、過去の大地震により観測された長周期地震動の観測事例に関する知見や、過去に地震における室内物品による被災事例なども考慮する必要があります。実験の条件を適切に設定した上で、長周期地震動がもたらす室内物品や居住者への影響を定量的評価や適切な事前対策の提案などを行いたいと考えております。